雲雀&骸→綱吉 10年後設定










(・・・ん、誰かの声がする)

綱吉はふと意識を浮上させた。





「大体君って一体なんなの?冗談はその腐った南国果実みたいな髪型だけにしてくれない?」

今日も絶好調に不機嫌(?)そうな己の雲の守護者の声が聞こえた。

「クハッ!君こそ手懐けている鶏肉と一緒に焼き鳥になればいいと思いますよ」

もうひとつ、こちらも愉快そうに笑いながら、しかし滲み出る殺気が尋常じゃない霧の守護者の声が聞こえてきた。


(・・・なにこれ。なんでオレの部屋で言い争いしてるんだよこいつらはぁぁぁ〜・・・!!)

察するに綱吉が寝ているベッドのすぐ近くで言い争いをしているようだ。
彼らの言葉にすぐにでもツッコミを入れたい綱吉だったが、目を瞑っててもわかるほどの修羅場だった為寝ているふりを続けた。
長年の家庭教師の鬼畜な教育のおかげで今では守護者さえも騙せるほどの演技力を身に付けたのだ。
・・・とても涙なくしては語れないほどの努力が裏であったのだが、ここではあえて語らずにおく。


「そもそもなんで寝ている綱吉の部屋に君がいるわけ?守護者であろうともボスの部屋には勝手に入るなと赤ん坊から言われてただろ」
「おやおや、それは違いますよ。僕は綱吉くんの許可を得てここにいるのですから」

その瞬間、雲雀側(だと思う)からものすごい殺気が溢れた。


(ってか骸!いつオレがお前が勝手に部屋に入ることを許可したー!!)

叫びたくなるほどにツッコミたかったが、一人からの殺気が尋常じゃなかったので怖くて起きられなかった。
綱吉は心の中でクリスチャンでもないのに十字を切り、この後の己の安否を気遣いながら寝たふりを続けた。


「どうせ変態の妄言だろ。君って髪形も可哀相だけど頭の中身も可哀相なんだね。ご愁傷様」

殺気を少し納めてフッと笑いを洩らした雲雀がさらなる皮肉を言葉にした。

「・・・クフフ。嫉妬ですか?男の嫉妬ほど醜いものはありませんよ」

さきほどとは逆転し、今度は骸側(だと思う)からやはりものすごい殺気が溢れた。





(・・・あぁ、ジ・エンドだオレ)

双方から噴き上がる殺気を直接肌に感じながら、綱吉はいつ目を開けようかそればかりを考えていた。










毒りんご<彼ら
「睫が重い」とか、現実逃避しても仕方ないけど