さきほどまで人の後頭部に顔を埋めていた骸が顔を上げたと思ったら、突然オレの耳をかぷっと口に咥えた。

「ひゃっ!」

耳元でフフと笑い声が漏れ聞こえる。
オレはかぁと頬を染めた。

「や、やめろよむくろ。耳なんて咥えて汚いだろ」

オレが若干恥ずかしさで声を震わせながら主張すると、骸はオレの耳をあろうことかペロリと舐めてから口を離した。

「君を構成する部分で汚い所など何ひとつありませんよ。それに、君の体はどこもかしこも甘い」
「・・・・・・え、」

骸の言葉に信じられないと顔を彼の方へと向けると、熱のこもった眼差しに捉えられた。

「どんなに甘いチョコレートよりも、君の方が何倍も甘いです」
「な、なんだよそれ」
「クフフ。わかりませんか?」

ふわりと骸の唇が目元に落ちる。
そして鼻、頬、最後に唇に落ちた。

「・・・ん」

すぐに離れるものだと思っていたが甘かった。
彼の舌で唇を開けられ、にゅるりとその舌が入ってくる。
口付けが深いものとなり、飲みきれなかった唾液がつつっと口の端から零れた。

「あ・・・ふ、」

最後に唇をぺろっと舐められ彼の唇が離れる。
オレは口付けの余韻でぼーっと骸の顔を見上げていた。

「・・・まだ、足りません」

骸の指がオレの頬を軽く上下に撫でていく。
その色違いの瞳にはさきほどよりも熱がこもっていた。

「ねぇ、もっと君をください」

その言葉にオレは困った風に眉を下げる。
どうせ「嫌だ」と言っても聞かないくせに。
言葉にする代わりに骸の服をぎゅっと握る。
すると彼は僅かに目を見開くと、すぐに微笑んでオレの体を抱きしめた。

「では、いただきます」
「オレは食べ物かよ」
「そうですよ。僕のだーいすきな甘いもの、です」

骸の言葉にオレは「ばーか」と返して笑いながら彼の首に腕を絡めた。










僕の好きな甘いもの
だって、恋は盲目と言うでしょう?









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